久しぶりに本のレビューを書いてみます。
今回は、モーガン・ハウセル著 児島修=訳 『The Psychology of Money(サイコロジー・オブ・マネー)』を読みました。
この本は芸人のルネ岩田さんがYouTubeで紹介をされていて、気になって読んでみました。
この本はこんな人におすすめ
- ここ数年の間に投資を始めた人
- まだ大暴落を経験したことがない人
- 大暴落が来たら耐えられるかが心配な人
- すでに投資がつらい人
- 自分のリスク許容度がよくわからない人
最近、私の周りでも投資に興味を持っている20代が増えた気がします。
(正確には、投資の話を外でする人が増えただけかもですが)
本屋さんでも、これを買いつづけて放置しておけばOKみたいな類のものをよく見るようになりました。
高校でもお金の授業が入ったことも影響してるんでしょうかね。
それで、ブーム?に乗って証券口座を開設して、なんかイイらしいと聞いたファンドを買ったら、さっそく値下がりし始めたじゃないか・・・つら。もうやめたい・・・
と思った方はぜひこの本を読んでみて欲しいです。
お金から得られる最高の配当とは・・・
お金から得られる最高の配当とは・・・・
なんだと思いますか?w
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著者曰く、「時間」をコントロールできるようになること。
だそうです。
第7章は労働者として雇われてる側の人からしたら超絶納得できる話だと思います。
最高の豊かさとは、毎朝、目を覚ました時に「今日も思い通りに、好きなように過ごそう」と思えることだ。
(中略)
好きな時に、好きな人と、好きなだけ、好きなことができる。それは何ものにも耐えがたい価値がある。そしてこれこそが、お金から得られる最高の配当なのだ。
サイコロジー・オブ・マネー より引用
そうですよね、そうなんでしょうね、、
他人に雇われて働いていると、
今日、雨か―。。。。
仕事行くのめんどくさいなー
だる・・・
って日にも、自分に鞭を打って毎日同じ時間に出社しますよね(泣)
そこから逃れるためには、FIREしようとか、起業したら?みたいな話になってくるかと思いますが、その自由って本当に憧れます。
例えば私は最近プログラミングに興味を持ち始めて、Progateやったり、YouTubeで勉強を始めたんですが、簿記2級もやりたいし、ブログも書きたい。
けど、仕事をしていると、平日の大半が仕事で消えちゃって、やりたいことを我慢しながら、生活のために仕事に行ってる感じなんですよね。
生活手段としての仕事なので、今は割り切ってる感じですが、”今日も思い通りに過ごそう!”って思いたいですね!
今、私が節約や貯金や投資をしている目的は、何かを買おうとしての行動ではなくて、老後のため・・?いうか、70歳まで働くなんて冗談じゃないよーー!って気持ちで貯めています。
でも、なんかボヤっとしていて、具体性がないというか、目的に近づいている実感があまり持てないもの事実だったりします。
そんな私への言葉として、こんな話が。
お金は、自分の時間をコントロールできるようにしてくれる。これは誇張ではない。蓄えが増えるごとに、人は周りの都合に左右されることなく、自律的に生きられるようになっていく。「何を、いつするか」を自分で決められるようになるのだ。
少額の蓄えがあれば、病気で数日仕事を休んでも・・・(中略)
さらに多くの蓄えがあれば・・・(中略)
半年分の蓄えがあれば、上司が怖くなくなる。「もし解雇されたら、路頭に迷ってしまう」とおびえなくてもいいからだ。
さらに蓄えがあれば人生の選択肢が増える。給料は安くても時間の融通が利く仕事を選べる。通勤時間が短い仕事を選ぶこともできる。(中略)また、自分の好きなタイミングで退職することもできる。どんな高級品でも得られなような、人生を変えるほどの価値が手に入るのだ。
サイコロジー・オブ・マネー より引用
私は、まさに、退職するタイミングを年齢で会社に決められて退職するのではなく、自分の意志でそのタイミングをコントロールしたいってことなんだと思います。(クビになる可能性を除いてですが)
私の知り合いの小学校の先生は、子供が好きで、仕事も好きだけど、とにかくやることが多すぎて、でも学校の先生だから残業代は一切出なくて(見込み残業手当のような形でほかの公務員よりは上乗せされているそうですが)はたから見ても、労働とその対価が釣り合っていないような状況らしいのです。
その先生は、将来的には自分の子供が大学を卒業して自立したら、定年退職を迎える前に仕事を辞めて担任の先生を補助する先生になりたいと話していました。
雇用形態的には、パートの先生のようなものらしいです。
なので給料はさがるけど、時間になったらしっかり帰れて、かつ、好きな仕事をするという選択肢を蓄えによって手に入れようとしているんだと思います。
何よりもつらかったのは、この会社での仕事そのものは好きだったことだ。それに、熱心に働きたいとも思っていた。しかし、自分でコントロールできないスケジュールに従ってまで好きなことをするのは、嫌いなことをしているのと同じだった。(略)これを「心理的リアクタンス」と呼んでいる
(中略)
人は、自分が主導権を握っていると感じたいのである。つまり運転席に座りたいと思っている。だから、だれかから何かをするように仕向けられると、急に無力感を覚える。自分で選択したのではなく、他の誰かに支持されたと感じるからだ。そのため、その行動そのものは好きだとしても、拒絶したり、他の行動をとろうとしたりする。
サイコロジー・オブ・マネー より引用
・・・どうでしょうか?心当たりありませんか?
私は、超絶納得でした。
好きなことでも人から言われてやる、ってだけで面白くない。
好きなことでもタスクが溜まってくると楽しくない。
他人に自分のペースを乱されることが面白くない。
集中しているときに電話がかかってきて30分中断される・・とか、
ほんっとうに嫌です。
つまり、今の私の働き方は、完全に主導権を他人に握られています。
なので、私にとっての蓄えは主導権を握り返すことなんだな。と読んでいて感じました。
実際には、半年以上の生活費があっても、上司が怖くないわけではありませんが、
でも、なにか仕事で嫌なことがあったときに
まあ、最悪やめてもいいけど
と思える効果は絶大です。
とはいっても、私の場合、一生働かなくていい程の蓄えではないので、焦らずに次を探せるぐらいですが。
その投資方法で夜に安心して眠れるか?
自分のリスク許容度がどれぐらいかを測る基準として、よく聞くのは、
- 年齢
- 独身か既婚か
- 子供の人数
- 収入
などを基準にするという話ですが、実際に始めてみると、自分がリスクを取りすぎているのか、取らなさすぎなのかが分からない・・・なんてことがあります。
積み立てNISAやインデックスファンドでこつこつ積み立てをするのがいいってのはわかるけど、暴落した時に耐えられるかが心配・・・
という方へ。
重要なのは、「この方法で投資をすれば、私は安心して眠れるだろうか?」と自問することだ。
サイコロジー・オブ・マネー より引用
例えば、
毎月一定額を積み立てをして、累計額が100万に到達したとします。
この直後、20%下落したとします。20万円のマイナスです。
さて、どう感じますか?どう行動しますか?
A:20万ならまあ、しかたないかな。
→では累計額が1000万で20%落ちたらどうでしょうか?
B:すぐ使うわけじゃないから気にしないね。30年後ぐらいにプラスになってたらそれでOK
C:子供が大学入学するときまでにプラスになってたらいいけど・・・
→大学入学の一年前に起こってたらどうしてましたか?
では、累計額が1000万の時の20%なら?50%だったら?眠れますか??
ちなみに私は、コロナが流行りだした2018年、マイナス25%ぐらいに落ちるのを経験しました。
そもそもの金額が少なかったこともあり、気にせず眠れていました。
でももし桁が1つ違っていたら、仕事中トイレへ行くたびにチェックしていたかもしれません。
つまり、そういうことなんだな。と思います。
本書では、株が下がって売ってしまうときの心境を、熱が出たら解熱剤を出す医者に例えた話がありました。
発熱は、体の免疫力を挙げるためにいいことだ、と頭では理解しているが、医者は解熱剤を処方するし、患者はそれを飲む。それは辛いからなんだ。と解説されていました。
医者は患者の辛さを和らげるために処方するし、患者は辛いからそれを飲む。
株価が下がってもずっと持ち続けたほうがいいってわかっていても、売ってしまうのは、辛いからなんだ、と。
このように本書では、金融にまつわる様々なシーンにおける心理状況を、たとえ話を使って説明されていて、すごく想像しやすいというか、腑に落ちる説明で納得感が高かったです。
本書の冒頭にあった「何をすべきかを知っていることと、その人が実際にとる行動は全くの別物」というセリフも、実際に投資を始めた今ならすごく腑に落ちる言葉でした。
この世界には、運と心理学の要素が大きく絡んでいるが、それを軽く評価しがちなんだとか。
間違っても、他人がすすめたETFを買って暴落したからといって本人に文句を言うような人にならないためにも、知っておきたい内容がもりもりでした。
私にあった方法とは?
最後の章では、”筆者にとっての”自分に合った方法が紹介されていました。
筆者の投資に関する考え方の軸や価値観が約10ページにわたり述べられていますが、
あくまでもこれは、その人にとっての正解であって、リターンを最大化するものではないけど、
安心して眠れる最善の方法。
自分の価値観がどんなものなのか、心地よい状態がどんなものなのかがよくわからないまま、人に勧められるがまま大きく始めるのはよくないという意味が分かってきた気がします。
最近、職場で投資を進める60オーバーのおじ様がいますが、おそらく私とおじ様ではプレイしているゲームが違います。
switchとプレステぐらい違います。
私は30年後のための投資、おじ様は・・・おそらく30年後は見ていない。
年金が貰えるまでの小遣い稼ぎにでも。とのスタンス。
なので、その人のおすすめ株の話を聞くことに意味があるのだろうか・・・
議論しても正解はわからない。
それならば、私も筆者のように自分の家族と話し合って、私自身が何のゲームをしているのか、自分の投資方針を文字に表せるようにして、ゲームを間違わないように気を付けたいと思いました。
まとめ
正直、この本を読むまでは
投資は、経済に関する知識と経験が大事!と思っていましたが、
”投資の世界には、人の心理と運が大きく影響する”
ということを知りました。
今、簿記の勉強中ですが、企業の決算資料を理解できるようになることと、暴落に耐えられることとは別ジャンルなんだな、と。
数字ばかりを追いかけていると、ついつい数学のように一つの答えを求めてしまいがちですが、
誰にも答えが分からない未来の話に最適解なんてないですよね。
ただ、やめなければ複利の恩恵を享受できる。
であれば、途中でやめないやり方、辛くないやり方で続けるのがちょうどいい距離感なのかな。
一時期、関心があった心理学とか、行動経済学らへんの本をまた読んでみようかなと思った1冊でした。
最後まで読んでくださりありがとうございました。