今回は、森山至貴さん著 あなたを閉じこめる「ずるい言葉」を読んでみました。
「ずるい言葉」は瞬時に対応できないことが多い
学校や職場で、言われた一言がなんとなくモヤモヤすることってありますよね。
言われた瞬間には何も言えなくて、でもなんか納得できないみたいな。
あなたのためを思って言ってるんだ
こんなセリフを先生や親、上司から言われたことはありませんか?
もしくはこれに近い言葉を言われて、何も言えなくなったことはありませんか?
相手をコントロールしようとする言葉。
「ずるい言葉」には、言われた瞬間にずるい!!と感じるものよりも、
あとからじわじわダメージが来るものも多い気がしませんか?
会話ってそれなりの瞬発力が必要で、ずるい言葉で相手をねじ伏せようとしてくる人には、それなりの心の準備が必要だと感じています。
本書は、10代向けに書かれた本だそうですが、学校だけでなく会社でもあるあるな例が合計29個紹介されていました。
ひとつひとつの具体例と対処法がそれぞれ6ページほどで書かれているので、
言われたことのあるセリフやからつまんで読んでもよし、最初から読んでもよし。
サクッと読みやすい本でした。
「昔はそれが普通だったのに」に込められた意味とは?
生徒:昔は給食って絶対に残しちゃいけなかっったんですか?
先生:時間内に食べきれない生徒は次の掃除の時間になっても食べさせてたね
生徒:ほこりが舞う中で食事をするのは汚いですよね?
先生:だから時間内に残さず食べろってこと。昔はそれが普通だったのになあ
森山至貴さん著 あなたを閉じこめる「ずるい言葉」より引用
『昔はそれが普通だったのに』という単語、よく聞きますよね。
職場でも、いまだにパソコンが苦手な上司が、
昔は、パソコン1人1台なんて当たらなかったから、使えない人がいても当たり前だったのに
なーんてボヤキを聞いたことがあります。
「のに」に要注意
本書によると、その発言をした教師は、今でも昔のやり方が正しいと思っているわけではないが、昔のやり方に肩入れしたい気持ちがありそうです。と解説されていました。
確かに、このセリフに続く言葉が喉の奥に詰まっていそうな感じがします。
では、「昔はそれが普通だった”のに”・・・」の先に続く言葉を補うとしたらどんなセリフがありそうでしょうか?
昔はそれが普通だった「のに」+ 今はそれが普通ではなくなってしまった(残念だ)(やりにくい)(不満がある)
パソコンが使えなくても当たり前だった「のに」+ 今は全員が使えなければならない(不満)(言い訳)
本書ではそんなセリフへの対処法として、次のように解説されていました。
たとえば、「昔のやり方のほうがよかったということですか?」とはっきり聞いてしまいましょう。多くの場合、「そうは言ってない」と反応するはずです。相手が昔の「普通」にもどろうとするのをやんわりと防いでおくことで、より望ましい今のやり方を続けてもらうことができます。
森山至貴さん著 あなたを閉じこめる「ずるい言葉」より引用
これ、なかなか会社では使いにくいかもしれないですが、腹の中で
ああ、この人は過去の自分を肯定したいんだな。今の時代についていけてないのがつらいんだな。
と思うことにします。
そしてあまりにもそういうことを言う人には3回に1回ぐらい使ってみたいと思います。
「普通」のかくれた意味
最近読んだ別の本で「同調圧力」についての話を読んだときにも登場した「普通」というセリフ。
普通そうじゃない?
(え、私違うんだけどズレてるのかな?そうしなきゃいけないの?)
相手と意見が違ったときに、言われるとこんな気持ちになっていました。
「普通」という言葉を、単に「珍しくない」だけでなく、「みんながそうするべき(だから結果として珍しくなくなる)」という意味で使うこともあるのです。
ですので、「昔は普通だった」という言葉を、「昔はそれが珍しくなかった」という意味だと理解して同意すると、「昔はそれが望ましいとされていた」ことに同意したことにされてしまうということがあり得ます
森山至貴さん著 あなたを閉じこめる「ずるい言葉」より引用
このあたり、日本語って難しいですよね。
私は「普通」というセリフをほぼ後者でとらえることが多く、誰かの言った『普通じゃない?』も、他の人の同意も後者ととらえていて、同調圧力に感じていたのかもしれません。
ちなみに私の職場には60歳オーバーの男性社員が多く在籍しており、その中には元学校の先生もいます。
その先生の話を聞いていると、
やっぱり学校って独特のルールだったなー
と思います。
かつては生徒の模範とれてきた先生の発する言葉って重みがあるように感じる一方で、
その先生が言う「普通」にギャップを感じることが多々ありました。
世代的なギャップと学校ルールがミックスされて、個人的には「え??」と感じることもあるのですが、まわりの60歳オーバーの人たちが同意していると、
普通って何よ?あなたの普通は世間一般の普通なの?もう聞くのもうんざりする
と感じておりました。(性格悪い?w)
全部が全部じゃないと思いますが、根拠はないけど、自分の意見を通したいときや、相手をコントロールさせたいときに使われているかもしれませんね。
先生が握ったおにぎり、食べられますか?
給食の話を読んで、残った白米をおにぎりにする先生のことを思い出しました。
小学2年生の時の担任のおじいちゃん先生は、まさに給食を食べきることを目標にしていて、クラス分のご飯が入った容器を空にして返却しよう!という考えでした。
(当時は、大きなバットに40人分のご飯が入っていて、それを給食係が配膳するシステムでした。)
クラス全員分の配膳を終えた後にまだ残ってる給食を、ごちそうさまの時間の10分前に、先生がおかわりする人を募集して完食を目指す感じです。
ここまでは他のクラスでもやっていましたが、白米が残ったとき、先生は机の中から塩を取り出しておにぎりを作り始めます。
先生のおにぎりはとても人気で、隣のクラスからもうらやましがられるほどでしたが、私はどうしても食べられませんでした。
先生はもちろん握る前に手を洗っていますが、しわくちゃの手で素手で握られたおにぎり、いつからおいてあるのか謎の塩・・・生理的に受け付けませんでした。
自分の母親やおばあちゃんが握ってくれたおにぎりは何の抵抗もなく食べられたのに、です。
普段チョークまみれの先生の手を見ていたからかもしれません。
今ではそういう人も一定数いると知ってホッとしています。
「いまはそういう時代じゃないからね」に込められた意味
続いて紹介されていたのが、こんなエピソードでした。
生徒:男も料理できた方がいいんですか?
先生:当たり前だ。今は男だって家庭科の授業を受けなきゃいけないんだから
生徒:でも先生は結婚相手に料理を全部任せているんですよね?
先生:それはおれの世代の話。いまはそういう時代じゃないからね
森山至貴さん著 あなたを閉じこめる「ずるい言葉」より引用
これは、まさに”ずるい”って感じませんか?
今は男も家庭科の授業があるんだから料理ができるほうがいい。でもおれの世代は家庭科の授業がなかったんだからできなくても仕方ない。
なんだか、そんなふうに言われてる気分です。
でもこれって、時代的なモノが大きくかかわってる感じがしてあまり悪くも言えない気がしています。
ある時、私が連休を使って3日ほど家を留守にすることを母親に話した時、
え、旦那のご飯はどうするの?
自分で何かしら作るなり買ってきて食べるんじゃない?大人だし。
へえ。そう・・・()
うちの実家は、日常的には母親が料理を作りますが、父親も趣味で料理をしていました。
なので、料理は女!という考えは強くないかと思っていたのですが、それでもどこかにそんな考えがあるのかもしれません。
この話を、あとから夫に話したところ
おかん、なめんなよw
と言ってました。
今回私は母親から言われたので、言い返すことができましたが、職場の60歳オーバーの男性社員から言われたら、同じことは言えなかっただろうなあと思います。
「悪気はないんだから許してあげなよ」って苦しくないですか?
他人から無神経なことを言われてイヤな気持ちになることってありますよね。
で、それを友達に話したら「悪気はないんだから許してあげなよ」と言われてしまったとき、どうでしょうか?
もちろん友達から言われたときも苦しいですが、私は、心の中で自分で自分に言ってしまってさらに苦しくなってしまいます。
他人の無神経な言動で、気持ちがザラついたとき、
この人は、悪い人じゃないんだけど傷つくんだよな。
でも、悪気はないんだろうし「やめてください」ってはっきり言うのもちょっと・・
相手に悪気はないんだから許してあげなきゃ
と頭では思うのに、許せない自分がいて苦しくなることがあります。
本書ではこれらの他にもたくさんの「ずるい言葉」と対処法が紹介されています。
こんな人におすすめ
以上、29のずるい言葉のうち、私に響いた3つのシーンをご紹介しました。
この本はこんな方におすすめです。
- 10代の学生
- 子供と接する機会のある方
- 世代が離れた人と一緒に働いている方
つい親が子供に使ってしまいがちな言葉や、職場で年配の方から若い社員へ向けて使ってしまいがちな言葉が、実例と一緒に対処法も学べると思います。
気になった方はぜひ読んでみてください。
ありがとうございました♡