「二人一組になってください」を読みました

今回は、気になっていた本 木爾チレンさん著 『二人一組になってください』を読みました。

まず、裏表紙に書かれているルールをご紹介します。

【ルール】

二人一組になってください

誰とも組むことができなかった者は、失格になります。その会の失格者が確定したら次の回へと続きます

一度組んだ相手と、再び組むことはできません

特定の生徒が余った場合は、特定の生徒以外が失格になります

最後まで残った二人、および一人のものが卒業式に出席できます

女子高を舞台にしたデスゲームのお話で、ルールにも出てくる『特定の生徒』というのはこれまでずっとクラスのカーストの最下層にいて、だれからも話しかけられることなく、居ないものとして扱われてきた生徒。

カーストは単なる上・中・下にとどまらず、中の上、中の下など細かく分かれており同じ階層の友達としか会話をしないような暗黙のルールがあります。

卒業式の日の朝、教室の黒板に書かれていたデスゲームのルールは担任の教師が最後の特別授業として課したものでした。

ゲームの中では、今までクラスにはいじめなどないと本気で思っていた生徒や、話す用事がないから話しかけなかっただけで無視したわけじゃないと思っている生徒、特定の生徒がいつも一人なことに気が付いてはいるものの、仲良くしたら自分も無視されるんじゃないかと思って何も行動できない生徒などなど・・・

二人一組になることを繰り返し、失格者が一人ずつ増えていく中で、実は親友だと思っていた友達を裏切る生徒、妬ましいと思っていた友達への復讐心を燃やす生徒、過去のいじめでの罪悪感を持つ生徒など本音が明らかになっていきます。

本書では一人ひとりの生徒を紹介する形で物語が進んでいきます。

私はこの本を読んで、実は私も加害者だった時期があるんじゃないかと思いました。

本書のような厳格なカースト制は無い(だろう)と思っていたクラスでしたが、修学旅行でグループを作る時などのとき、普段4人グループだけど5人グループを作らなければいけない時、4+1人にするのか、2人ずつで別れてから3人グループと合併して2+3人にするか・・・みたいなことを考えていました。

その時はクラス内の女子ではすでにここで1グループができて・・・などど予想はついていて、その中に4+1にしようとしたら暗黙の了解で1人になる人が想像できるのです。

普段学校でほとんど話すことのない相手。でも無視をしているわけでもない、避けているわけでもない。体育のストレッチで一緒になれば組むし、テニスで一緒になることもある。でも体育館までの移動とか、休み時間とか一人だったような気がするその子。

本書を読んでいて学生の頃のそんな行動を反省しました。

ただ、やっぱり学校って特殊な場所だったなあと改めて感じます。

社会人になった今、特段仲の良い同僚を除く、その他大勢の同僚相手の場合、特定の生徒のような人がいても自分から敢えてかかわりに行かなくともいじめには当たらないと思うのです。

会社でちょっと浮いている子がいても、苦手な相手が居ても、仕事に弊害がなければOKという感じな気がしませんか。

でも学校はそうじゃない。クラスで一人の子がいたらいじめです。

もちろん本人がどれ程心細いか、寂しい思いをしているかは、私も過去に被害者側にもなったことがあるので想像できます。私の場合は幸いにもローテーションのように一人ずつハブられるような感じだったので、一時でしたが。

そのハブられ期にこれまで別グループであまり話をしないような子が話しかけてきてくれた時の嬉しさは、今も覚えています。

だからクラスで一人の子が居てほっといても別にいいじゃん、なんてことは思わないのです。

ただ、過去に一人でいる子に話しかけて仲良くなったことで、その子もいじめられるようになった現場を見ている人だったら、その子たちを助けてあげようと思える子はどれだけいるのかなあと思います。

その子たちと仲良くすることで、自分もいじめの標的にされるとわかっていたら、見て見ぬふりをしてしまうもの一種の防衛反応だと思います。

その見て見ぬふりをする行為自体もいじめの加害にあたるというのはちょっと乱暴な気もするんですよね。もちろんいじめられている本人にとっては助けてくれない人、あっち側の人って映るのはもちろん納得なんですが、自分を守るために自分がいじめられないようにとる行動ってすでにもう被害者側の考え方をしているというか・・・・

クラスみんなで仲良くなるのは理想郷だと思いますが、特定の誰かを攻撃したり、無視するのは無くなってほしいですね。

この本はぜひぜひ中学生高校生に読んでみてほしいお話でした。小学生でも高学年なら物語としては理解できると思いますし、下手ないじめ防止活動よりもこの本一冊読む方が心に刺さるんじゃないかなと思いました。

おしまい

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