「カフネ」を読みました

今回は、2025年本屋大賞を受賞された阿部 暁子さん著『カフネ』を読みました。

読書の頻度が上がってからこう言った〇〇大賞が気になるようになっていたのですが、本屋大賞の候補作にノミネートされていると知った時点では実はあまり興味をそそられていませんでした。

29歳の弟が急に亡くなった。残された姉と、弟の元恋人の女性。
【食べることは生きること。二人の「家事代行」が出会う人びとの暮らしを整え、そして心を救っていく。】

紹介文を読んだときは、ご飯を食べるほっこり系の内容なのかな、と予想していました。

個人的にほっこり系は嫌いではないので短編集ではわりと読んでいるのですが、長辺のほっこり系って何となく飽きてしまうというか、なんとなく予想がついてしまうのが嫌で、他のノミネート作の方が気になっていました。

でもやっぱり大賞受賞となると本屋さんへ行っても目立つところに積み重ねられているので何度も目にするうちに手に取ってしまいました。

読んでみて、もっと早く読めばよかった・・・・!

ただのほっこり系ではありませんでした。

仕事、離婚、出産、育児、介護など現代の大人が直面するであろう悩みがリアルで、考えさせられるシーンがたくさんありました。

今、女性にとって出産するしないはすごくデリケートな話になりつつある中で、親の世代はずけずけと『まご、孫』と期待する言葉を投げかけてくる・・・

女性の中には、結婚したら当たり前のように出産して子育てをしている人もいるけど、産むか産まないかを一旦立ち止まって冷静に考える人もいて、たとえ一度産まないことを選んだとしても、いつか後悔するんじゃないかと不安になったり。

その選択にはそれぞれ子供に対して思うところがあって、でもそれを女性同士で打ち明けるには相当ハードルが高いんじゃないかと思うんです。

産んだら産んだで、そのあと仕事と育児の両方をこなそうとするとほんのちょっとつまずいただけで、家の中が荒れてしまったり、親の介護や老夫婦の二人暮らしでの介護でも少しづつ心と体が疲弊してそれと共に家の中のことに手が回らなくなってしまう。

経験がある人も多いんじゃないかと思うんですが、残業が増えると、外食や総菜が増えて、洗濯は休みの日にまとめてやる。ネットショッピングの頻度が増えて段ボールがたまる。

24時間いつでもごみを出せるマンションならまだしも曜日が決まっている場合、タイミングを逃してしまって玄関前にたまってしまう・・・

そうなると掃除どころじゃなくなりますよね・・・家に帰ってきて、シャワーを浴びて、倒れるように寝て、翌朝疲れた体を無理やりたたき起こして着替えて出かける。

一人暮らしでもこの生活の中に炊事、洗濯、掃除をねじ込むには大変なのに、育児や介護が追加されたら・・・私は育児も介護も経験がないので想像でしかないのですが、家が荒れていない人って少数は何じゃないのかなあ・・・

家事って奥さんだったり、旦那さんだったりがしてくれてもついつい当たり前に感じてしまって感謝するってことを忘れてしまいがちですよね。

でも何かがきっかけで家が荒れてしまってどうしようもなくなった時、誰かに助けてもらいたい、でもこの荒れ果てた家を見せるわけにはいかない・・・・!

そんな人たちにやさしく寄り添う家事代行のお話しでした。

おしまい

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